粟生線志染駅での運転取扱い

 2001年6月22日までの粟生線では,ラッシュ時は 志染 において増結(朝)・解放(夕), ラッシュ時以外は 新開地〜志染 折り返し列車と 志染〜粟生(一部は三木) 折り返し列車が 志染 で相互接続する形の運行形態をとっており, 志染 駅は粟生線運行上の拠点となっている。 しかし,2001年6月23日から粟生線直通運転化によりこれらの運転取扱いがなくなった。ここでは,その 志染 駅での旧運転取扱いを記録しておきたい。

志染駅の配線

 志染駅は次の図に示すように,単線区間の中で2面3線に新開地寄りに留置線が配置されている。各線の基本的な使用法は次のとおりである。

1番線
夜間は増結車が2編成留置されている。朝ラッシュ時の志染発列車4本以外には営業列車に使用されていない。
2番線
下り直通列車と粟生方面への折り返し列車の発着に使用。
3番線
上り直通列車と新開地方面への折り返し列車の発着に使用。
留置線
夜間に増結車が4編成留置されている。(名称はこのページで便宜上つけたもの)
入換線
増結する際に1番線または留置線から移動して増結車が一時待機する場所。また,解放時に1番線への入換で折り返す場所。(名称はこのページで便宜上つけたもの)

志染駅配線図・増結車留置状態

朝ラッシュ時の増結

 朝ラッシュ時は志染にて粟生発の3連の前に2両が増結される。増結車は前日の夕方ラッシュ時に解放されたあと,志染の1番線または留置線で翌朝まで留置されている。 増結作業パターンを下図に示すが,概ね次のとおりである。

  1. 6:30までには1番線または留置線の増結車はすべてパンタグラフを上げられて準備が整えられている。
  2. 1番線または留置線から入換線に増結車を移動(留置線からの場合は,折返し志染発列車となる回送が到着すると同時のことが多い)
  3. 粟生発の基本3連が3番線に到着
  4. すぐに誘導信号機にしたがって増結車が入換線から3番線に入線,何度か停車しながら基本編成に接近したあと増結
  5. この間に下り粟生行が到着し,すぐに出発
  6. 増結作業が完了したら所定時刻に出発
  7. 見津車庫から回送または新開地方面から営業の4〜5連が1番線に到着し,折り返し新開地行となって出発

1番線は志染発列車が使用するので先に空ける必要があるため,増結車の使用順序は,上図の増1→増6の数字の順序となる。

志染駅構内ダイヤ朝ラッシュ時
1.夜間〜朝ラッシュ前
1番線に増結2連×2編成留置
増結車が2編成留置された状態の1番線
2.増結に備えて入換中の増結2連
後ろは留置線の増結車群
入換線の増結2連
3.3番線に粟生方面から基本編成3連到着
1番線にはあと1編成の増結車
3番線に基本編成,1番線に増結2連
4.入換線から増結車入線
1番線に早くも次の志染発列車を待つ人
増結作業中
5.増結終了・出発待機中
1番線で出発待機中
6.見津車庫から回送されて1番線で折返す志染発列車
1番線に5連停車中

 なお,増結車の入換・増結はひとりの乗務員で行われ,ひとつの作業が終了すると次の増結車の留置位置まで線路沿いを歩き,また次の入換・増結を行っている。

夕方ラッシュ時の解放

 夕方ラッシュ時は志染にて粟生行5連の後部2両が解放される。増結車は,解放された後,志染の1番線または留置線で翌朝まで留置される。 解放作業パターンを下図に示すが,概ね次のとおりである。

  1. 粟生行5連が2番線に到着
  2. すぐに増結2連が電気的に切り離されてドアが閉められた後,増結2連が少し退行して解放される。
  3. この間に上り新開地行が到着し,すぐに出発
  4. 所定時刻に基本3連が粟生方面へ出発
  5. すぐに増結2連が入換線経由で留置線または1番線に入換
  6. 所定位置ですぐにパンタグラフが下ろされて翌朝まで留置

 増結車の入庫順序は,朝の増結時と逆で配線図の増6→増1の数字の順序となる。 ただし,休日は連解編成の運用が異なるため,休日の夕方と翌日が休日の場合の入庫順序はこの順序ではない。

志染駅構内ダイヤ夕ラッシュ時

 なお,増結車の解放・入換はひとりの乗務員で行われ,ひとつの作業が終了すると留置位置から駅まで線路沿いを歩き,また次の解放・入換を行っている。

志染乗り換えパターン

 ラッシュ時以外は増結・解放を行わないで新開地方の輸送力を確保するため, 新開地〜志染は4〜5両編成で折返し運転,志染〜粟生(一部は三木)は3両編成で折返し運転を行い,両折り返し列車が志染でほぼ同時発着して接続している。 直通する乗客は志染にて乗り換える必要がある。乗客だけでなく,運転士・車掌も折返しではなく,接続列車に乗り換えて乗務する。 ほとんどの場合,1〜3分で車両は折り返し・乗客と乗務員は乗り換えており,実にあわただしく,乗務員はたいへん。

志染駅での相互折り返し

増結・解放しない直通運転

 現在でも単純に志染を超えて直通運転する列車はある。 主に,ラッシュ時に増結・解放する列車と反対方向の列車,昼間の新開地〜三木折返し列車,早朝・深夜の新開地〜粟生方面列車である。 志染より西方は3両編成までしか入線できないため,すべて3両編成である。

2000/08/27

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