223系(概要) 223系 編成表 223系2000番代/3000番代 増備の過程
223系のオリジナル(0番代)は関西空港線用として1994年春に日根野電車区に新製配置,おもに阪和線で運用され始めた。 1994年9月の関西国際空港開港からは,大阪(京橋・JR難波・天王寺)〜関西空港 の関空快速を中心に運用された。 現在は,京橋・天王寺〜和歌山の紀州路快速にも使用され,京橋・天王寺〜日根野 で両快速を併結して運転されている。
1995年1月17日の兵庫県南部地震で大きな被害を受けたJR神戸線は並行他鉄道より早く4月1日に全線復旧を遂げ, 他鉄道からの旅客の流入による乗客増に備えて新快速などが増発された。 輸送力を確保するため,当初は車両検査実施時期の調整と他地区からの借り入れにより車両をやりくりしたが, 急遽車両を増備することとなって登場したのが 223系1000番代である。
223系2000番代/3000番代は,新快速全列車を223系に統一して130km/h運転するために 1000番代をベースに徹底的にコストダウンが図られて増備された。 また,紀州路快速運転開始時に0番代車両の編成変更用として,2000番代の車体と機器に車内を0番代仕様とした2500番代が新製されている。
JR神戸線を走る223系は1000番代と2000/3000番代で全車網干総合車両所「神ホシ」に所属,番代による運用区分はなく完全に共通運用である。 4両編成・6両編成・8両編成があり,4両,6両,8両,4両+4両=8両,4両+6両=10両,6両+4両=10両,4両+8両=12両,6両+6両=12両,8両+4両=12両で 全新快速と多くの快速に使用されている。
定期運用で221系と併結されていた時期もあったが,新快速130km/h運転からは基本的には221系との併結はなくなった。
通常の運用区間は,北陸線,湖西線,東海道・山陽(琵琶湖・JR京都・JR神戸)線,赤穂線で, 敦賀〜近江塩津〜米原経由または湖西線経由〜大阪〜姫路〜網干〜上郡・播州赤穂であるが, 僅かな本数ながらJR東海区間である大垣〜米原にも乗り入れている。
223系1000番代はビートが入ったステンレス車体転換クロスシート車である。 座席は221系をベースにした一般的な2+2=4席となっているが,扉間の座席は1列減少して扉付近のスペースを広くとり, ラッシュ時等にロックして使用できないようにすることができる折りたたみ式補助座席を設けている。
1M2TのMT比率をベースに,M車は各軸ごとに個別にVVVFを装備した1C1M×4群構成で,故障時には1Cごとに解放が可能となっている。 さらに補助電源装置SIVもVVVF制御装置と一体化され,SIVが故障時にはVVVFの1C分をSIVとして切り換えることができるようになっており, 機器故障等時の冗長性を持たせている。インバータ素子はIGBTである。
←上り方 | ||||||||
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搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | ||||||
番代 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | ||||
←上り方 | ||||||||
搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | |||||
番代 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 | 1000 |
搭載機器・・・V4:VVVF 4モーター分,SIV:補助電源,Cp:コンプレッサ
223系2000番代/3000番代は再び0番代と同様ビートのないステンレス車体である。 1C1MのVVVF制御方式で故障時には1Cごとに解放が可能, 補助電源装置SIVもVVVF制御装置と一体化され,SIVが故障時にはVVVFの1C分をSIVとして切り換えることができるようになっており, 機器故障等時の冗長性を持たせている。インバータ素子はIGBTである。 コストダウンのために,どんな編成でも極力MT比率を1:2に近づけるようM車4軸のうち1軸をT軸として0.75MとしたM車系3000番代, SIVとコンプレッサを搭載しないモハ222などの形式・区分番代の車両をつくり,必要最小限の機器構成となっている。 また,座席の簡素化および日除けカーテンの廃止なども実施されていたが,日除けカーテンは後に設置されている。
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搭載機器 | V3 SIV Cp | V3 | ||||||
番代 | 3000 | 2000 | 3000 | 2000 | ||||
←上り方 | ||||||||
搭載機器 | V3 SIV Cp | V4 | V4 SIV Cp | |||||
番代 | 3000 | 2000 | 2000 | 2000 | 2000 | 2000 | 2000 | 2000 |
搭載機器・・・V4:VVVF 4モーター分,V3:VVVF 3モーター分,SIV:補助電源,Cp:コンプレッサ
2003年12月ダイヤ改正に向けて2003年8月から,そして,2004年10月ダイヤ改正に向けて2004年3月から,再び223系2000番代が増備されている。 基本的には前回までの223系2000番代/3000番代と同じ仕様のようであるが,窓ガラスが緑がかったものになるなど,同時期に新製された他系列車と共通の変更点がある。 また,M車はすべて全軸がM軸となるとともに中間M車はすべてモハ223となっているが, SIVは搭載せずコンプレッサのみを搭載するモハ223-2100番代が新たに登場している。
編成もこれまでの4連と8連のほか,新たに6連も登場している。
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搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 Cp | ||||||
番代 | 2000 | 2000 | 2100 | 2000 | ||||
←上り方 | ||||||||
搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | ||||||
番代 | 2000 | 2000 | 2000 | 2000 | 2000 | 2000 | ||
←上り方 | ||||||||
搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 Cp | V4 SIV Cp | |||||
番代 | 2000 | 2000 | 2000 | 2100 | 2000 | 2000 | 2000 | 2000 |
搭載機器・・・V4:VVVF 4モーター分,V3:VVVF 3モーター分,SIV:補助電源,Cp:コンプレッサ
2006年までに新製された2000番代の側面窓は,扉間5連の窓のうち,2番目と4番目が非常用換気窓的な上部内折れタイプであったが, 2007年に新製された車両からは1000番代と同様に1段下降窓になっている。
写真:側面窓が1段下降窓になった編成
2003年末頃から2004年半ばにかけて,全車の前面スカートを下側に延長して強化型スカートとする改造が施工された。 なお,この時期以降に新製された車両は当初から強化型スカートとなっている。
2004年3月頃から2005年11月頃まで,V25編成のクモハ223-3033にシングルアームパンタグラフが試験的に装着されていた。
223系1000番代,2000番代/3000番代は元々221系と併結が可能で,併結の場合には223系が221系の性能に合わせて制御されていた。 ところが2008年1月に,一部の既存223系2000番代/3000番代を221系性能に固定して車番を原番号に+4000して改番された223系6000番代/7000番代が出現し, 221系の本線系運用に充当されている。 これらの編成では,前面貫通ドアと側面乗務員室ドアに2本のオレンジラインが入れられている。
学研都市線放出と大和路線久宝寺を結ぶ「おおさか東線」は2008年3月15日に開業, 普通列車は奈良電車区の103系および201系の6連でおおさか東線内折り返しで運転されるが, 朝夕ラッシュ時に, 奈良〜(大和路線)〜久宝寺〜(おおさか東線)〜放出〜(学研都市線)〜京橋〜(JR東西線)〜尼崎 で運転される直通快速は223系8両で運転される。 この直通快速はJR東西線を走るため,M系車にパンタグラフを2台載せた223系4連が宮原総合運転所に新製配置された。
当初は2000番代として新製され,おおさか東線の試運転・習熟運転に使用されていたが,おおさか東線開業までに全車車番を+4000して6000番代に小改造・改番されている。
さらに宮原総合運転所に2パンタ6000番代4連が増備され, 2008年6月29日から福知山線の丹波路快速と快速にも4両または2編成連結の8両で運用されている。
しかし,JR東西線の一部の駅で可動式ホーム柵を設置するために4扉車に統一することになり, 2011年3月ダイヤから,同線を走る奈良〜尼崎の直通快速も207系に変更され, 宮原総合運転所の223系は大和路線・おおさか東線・JR東西線から撤退し, JR宝塚線(福知山線)の丹波路快速・快速に専念することになった。
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搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 Cp | ||
番代 | 2000 ↓ 6000 |
2000 ↓ 6000 |
2100 ↓ 6000 |
2000 ↓ 6000 |
2012年11月に223系2000番代トップナンバーW10編成の両先頭車に前面転落防止幌が設置され,湖西線などで試運転が実施された後,営業運用に使用されていたが,後に撤去されている。
223系0番代は,関西空港線開業用に新製された車両で,全車日根野電車区「大ヒネ」に所属している。
ステンレス車体に転換クロスシートで,国際線航空旅客がスーツケースを持ち運んで乗車することを考慮し,座席は1列+2列=3列として広い通路幅を確保している。
1M2TのMT比率をベースに,M車は各軸ごとに個別にVVVFを装備した1C1M×4群構成となっており,故障等時の冗長性を持たせている。VVVFインバータ素子はGTOである。
一時,クモハ223-100の半室が荷物室に改造されてJR難波のOCAT(Osaka City Air Terminal)でチェックインした航空旅客の手荷物を輸送していたが, 需要が少なかったために取りやめとなって元通り客室に戻された。
また,当初は6両+2両で一部の関空快速でJR難波発着と京橋発着の列車が天王寺で分割・併合していたが, OCATの荷物取り扱いの関係で2両+6両となって連結順序が逆に変更された。
1999年5月の紀州路快速運転開始時に3連+5連に編成が変更されている。このときに2500番代が先頭車のみ新製されて編成替えが行われた。 基本的には関空快速5連+紀州路快速3連であるが, ラッシュ時には逆に紀州路快速5連+関空快速3連となるものがある。
2006年には予備車確保のため2500番代が増備され,初めて2500番代のみで組成された編成が出現した。
2008年3月のダイヤ変更時には,それまでの5連(2M3T)+3連(1M2T)の編成だったのが4連(2M2T)+4連(2M2T)に変更された。 編成替えにあたっては,M車が不足し,T車が余剰となるため,2500番代2M1T(クモハ−モハ−クハ)3両が10組とM車(モハ)のみ10両が増備され, 既存の車両と合わせて組み替えを行っている。 ほかに2500番代のみの2M2T4連も5組増備,関空快速・紀州路快速のほか, これらと同じ運行形態で朝ラッシュ時に大阪環状線内は各駅に停車する直通快速などにも充当されている。
〜1999年5月 | |||||||||
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←JR難波〜関西空港→ | + | ←京橋〜関西空港→ | |||||||
←京橋・天王寺〜関西空港→ | |||||||||
+ | |||||||||
搭載機器 | V4 SIV | Cp | V4 SIV | Cp | V4 SIV | Cp | |||
番代 | 100 | 100 | 0 | 0 | 100 | 0 | 0 | 0 | |
↓ |
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1999年5月〜 紀州路快速 運転開始 | |||||||||
紀州路快速 | + | 関空快速 | |||||||
関空快速 | + | 紀州路快速 | |||||||
搭載機器 | V4 SIV | Cp | V4 SIV | Cp | V4 SIV | Cp | |||
番代 | 100 | 0 | 100 | 0 | 100 | 0 | 0 | 0 | |
搭載機器 | V4 SIV | Cp | V4 SIV Cp | V4 SIV | Cp | ||||
番代 | 0 | 0 | 0 | 2500 | 0 | 0 | 100 | 2500 | |
搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | ||||||
番代 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | |
↓ |
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2008年3月〜 編成変更 | |||||||||
紀州路快速 | + | 関空快速 | |||||||
搭載機器 | V4 SIV | Cp | V4 SIV | Cp | V4 SIV | Cp | V4 SIV | Cp | |
番代 | 0 | 100 | 0 | 0 | 0 | 100 | 0 | 0 | |
搭載機器 | V4 SIV | V4 SIV Cp | Cp | V4 SIV | V4 SIV Cp | Cp | |||
番代 | 100 | 0 | 2500 | 100 | 100 | 0 | 2500 | 100 | |
搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | |||||
番代 | 2500 | 0 | 2500 | 2500 | 2500 | 0 | 2500 | 2500 | |
搭載機器 | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | V4 SIV Cp | |||||
番代 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 | 2500 |
各種編成パターンの組み合わせに限定なし
搭載機器・・・V4:VVVF 4モーター分,SIV:補助電源,Cp:コンプレッサ
223系(概要) 223系 編成表 223系2000番代/3000番代 増備の過程